うちにかえろう~Free Flowers~ |
川上三枝子さんは未映子と名前をかえて、「瞳バイブレーション」「はつ恋」などの新曲を出してますよ。つい最近も「夢みる機械」というアルバムCDが出たばかりです。 この「うちにかえろう」のジャングル・ブギーなんかもエネルギッシュでよかったですが、新作はバラード調の違った魅力でいい感じなんで、おたけさんもぜひ聴いてみてくださいね。 |
ヘヴン |
斜視。日々見つけられる、気まぐれな「苛めの新しいたね」。「どれだけ考えてもけっきょくどうすればいいのかはわからな」い「なにをしても間違っているような気が」する中学生の日常。身近に同じような苦しみを抱える人がいるので、読んでいて胸が痛んだ。教室の中での苦しみがこんなふうにリアルに書かれていることに強い痛みを感じ、作者の持つ創造力の強度に圧倒される。
コジマは、ドストエフスキー文学に出てくるユロージヴァイ(聖なる白痴とも言うべき存在、魂とは逆に肉体は不潔なことが多い)みたいな存在で、ちょっと図式的に過ぎる人物だと思ったけれど、「僕」と美術館に「ヘヴン」という絵を見に行って、その絵を見ないで帰る夏の一日は、悲しい作品の中で、キラキラしている大切な場面だ。もちろん、ラスト前の雨の公園の場面は圧巻。 しかし、最もすごいのは160頁から180頁までの百瀬との対話だろう。ドストエフスキー風の悪魔的な人物のように描かれる百瀬って、実は今の中学生の多くの発想そのものを語っている。普通は言語化されないが、苛める側のあまりにもリアルな実感。もう、子どもたちはここまで追いつめられている。全ての苛められている中学生とその家族に読んでほしい場面だ。いや、文学を愛する全ての人に読んでほしい。 百瀬を造詣しただけでも、川上未映子は21世紀の文学の旗手だと思う。今後が最も楽しみな(最も怖い?)作家のひとり。 |
そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります (講談社文庫) |
ブログという性質上、仕方のないことですが、ブログの原タイトル「純粋悲性批判」という言葉の印象とは離れた、とても日常的な日記だと感じました。文体が装飾過多で読みにくい割には、内容が普通…?ブログでは人に不快感を与えそうなことは書けないし、そもそも「日記」なので、私の期待の仕方に問題があったのかもしれません。共感できる部分もあります(それで十分なのかもしれません)が、深い洞察にまでは至らず…最後まで読み終わらなかったです。私がもっとのんびりした時間・精神状態の時に読めば、印象が違ったのかなぁ・・・ |
乳と卵 |
全編通してよどみない大阪弁で綴られている新感覚の私小説。
最初感じた読みづらさはしだいに小気味良いリズムになっていく。 (関西弁が苦手な人にはきついかもしれません) 大阪漫才のような笑いのセンスを盛り込みながら テーマの‘乳’と‘卵’に最後までしっかりと焦点を合わせているのがいい。 女性なら納得の生理的体感をうまく表現していると思う。 08'芥川賞受賞作。 |
未映子 - 悲しみを撃つ手
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